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エッセイ『演奏者&教育者』 [『ぶん★文★ぶん』]

私は演奏会デビューをして間もなく30年を迎えようとしています。長年の演奏活動を通じ、今までに一度も幼児の入場規制を行ったことはありません。幼児にもクラシック音楽を耳にする機会が必要だと考えています。もちろん、二時間に及ぶ演奏会全編を集中して幼児に聞かせようというのは難しいものです。大人にとっても苦痛になる演奏会も少なくありませんし、お客様の中には睡眠に誘われる人々も当然いらっしゃるわけです。
それは必ずしも音楽がお客様を楽しませていないという証にはならないと考えています。お客様がリラックスされて心地よく感じ、そのまま睡眠に誘われていらっしゃるのであれば、十分に音楽を感じていただいているのです。残念ながら退屈されている場合もあるかもしれませんが、その場合は次回の演奏会に足を運ばれることはないでしょう。
幼児が観客席にいるときの話になりますが、フォルテなど大きな音が鳴り響いているときに、恐怖のためにぐずってしまう場合はあるようですが、幼児が声を出すことはあまりありません。とても静かなパートでピアニシモなどの音量のとき、子供たちの大きな声が瞬間的に発せられる場合があります。ステージングの際には演奏している自分自身もその大声で瞬時に集中力を欠いてしまう結果になる場合もあるのですが、子供たちには音楽会という認識は勿論できていないわけですし、薄暗いホールの中では恐怖感を抱くことでしょう。その中で自分が声を出してもよいと感じるのは静かなメロディーが流れているときであり、親の気を引くためなのかもしれません。このことは状況を幼児なりに判断している事実に他なりません。
幼児教育において発達主要素として体育、造形、音楽は欠かすことができません。幼児の行動と連動する音に着眼することで、子供たちの興味の集中力を少しでも持続させることができるのはないかと考えています。日本人であればC・G7・Cの和声に対して直立・例・直立と反応してしまうのは周知の事実です。これは誰もが幼少のころから当たり前のようにすりこまれたもので、幼児が興味を持って行動に連携させているとは考え難い部分があります。しかしながら、音と子供の行動や運動には深い関係がありダルクローズの提唱した音楽と動きを融合した教育スタイルは画期的なものだと考えています。
ダルクローズは音楽学生の基礎トレーニング(ソルフェージュ、イアー・トレーニング)の授業をおこなう過程で、学生の音楽的センスを高めるためにどうしたらよいのかという課題に直面し、いろいろと試行錯誤しました。日本では既に明治時代にその教育スタイルであるリトミックが紹介されています。山田耕筰もドイツ留学時にダルクローズのアトリエを訪れて、大きな刺激を受けたようです。
音楽学生のみならず幼児教育を目指す学生たちには、このリトミックの教育スタイルは非常に有意義であり子供たちの動きを統括するにも非常に有効なものです。協和音を主体とし音とリズムを融合させることにより、子供たちは笑顔とともに運動を開始します。言語とリズム、運動とリズムの関連性は人間の発達に大きく影響することを実際に体験することによって理解し、実際の教育現場でも実践することによって幼児の能力を一段と引き伸ばすことができるのです。人間の身体の構造上、偶数拍子に対する反応は比較的容易ですが、幼児の中には特に三拍子を不得意とする子供が少なくありません。拍子を言語に連携させ三拍子の指導を試みる際、日本語のように全ての子音字に母音を伴う言語においてはリトミックによる教育スタイルは非常に効果的だと考えています。
演奏者としての長年の経験を踏まえ「幼児の音楽」、「ピアノのレッスン」など、幼児教育現場におけるリトミックの有効性やピアノ技術の向上のサポートができる教員でありたいと考えています。
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